今年最大の衝撃作『バベル』。絶望と哀しみの果てに、

『アモーレス・ペロス』、『21グラム』という、衝撃作ばかりを我々に見せつけてきたイニャリトゥ監督が、またもや“爆弾”を我々に投げつけてきた。「これでもか」と言わんばかりに振りかかる、人間の“孤独”や“己の哀れみ”を、畳み掛けるように、モロッコ・メキシコ・日本を舞台に物語が進んで行く。その先には、究極の人間の行きつく果てがあるのだろう…。パズルのようにバラバラで、言語も大陸も違う中、地球の裏側で起こっている物語が同時にシンクロし、登場人物がそれぞれの運命に翻弄されていく。日本人女優では49年ぶりの快挙となった菊池凛子のアカデミー助演女優賞ノミネートの演技もさることながら、同じく助演女優賞ノミネートのアドリアナ・バラッザの、子供を守り砂漠をさまよい歩く演技は観ている者を圧巻させ、また溢れんばかりの涙を誘う人は自分を守るために、なぜ他人を犠牲にしてしまうのか。 そして、なぜ人は人を求めるのか。この作品のタイトル通り、そして旧約聖書にも記してあるように、神に近づこうと人間たちは天まで届く塔を建てようとし、それに怒った神が世界をバラバラにし、言葉を乱したように、この映画は現代の人間の愚かな言動を再確認するための“聖書”なのかもしれない。(文:羽富敏彦)。映画『バベル』4月28日(土)より、スカラ座ほか全国東宝洋画系にてロードショー。提供・配給:ギャガ・コミュニケーションズ
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